その10 足の小指の秘密

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人って見れば見るほど、おもしろい。ホントによくできています。

その5 足の解剖学をまとめましたが、大事なことを書き忘れていました。

今回は、足の小指の秘密についてです。

解剖学書の説明やイラストを見ると、足の趾骨は手と同じく、親指(拇指)だけが2本、他の指は末節骨+中節骨+基節骨の3本からなっています。
サルも必ず親指以外は3本からなっています。

しかし、本で勉強したことと、実際の臨床の現場では、ちがう現実が目の前にありました。

確かに外国人の患者さんは、解剖学書どおりにハッキリとわかるぐらいに3本の人が多いですが、多くの日本人は小指の骨が1本足りないのです。

当時、駆け出しだったわたしはとても不思議な発見でした。

実際に足のケガでレントゲンを撮った際に
『足の小指の骨(関節)が1本足りないね』
と医者に言われた、という方を何人も見てきたことがあります。

わたしも気になって、レントゲンを撮ってもらったら・・・足りない一人でした。

たかが趾骨1本の話です。
親知らずがあったりなかったり、そんな許容範囲として受け止められているみたいです。

なぜ、足の小指の趾骨なのか?
なぜ、示指・中指・薬指は足りなくならないのか?

この謎はどの本にも書いておらず、このシリーズで何回も登場している、故近藤四郎先生の著書にそのことが書かれていました。
近藤先生によると、足の小指が親指と同じく2本の人は欧米人が35〜48%に対して、日本人は75%もいるのだというのです。

そうだったんです、日本人は圧倒的に1本足りない人が多いのです。

これはどういうコトでしょう?

靴を履く文化になって、退化したという話もありますが、詳しくはわかっていません。

靴を履くなら欧米人の方が退化していそうですが・・・

骨が1本少ないということは、関節も少ないということです。モノをつかむためなら、手と同じように3本の方がいいに決まっています。

歩くため、体重を支えるためなら・・・両側が2本の方がバランスはいいですよね。特に日本は環境が悪かった(湿度・気候の変化・ウィルスなど)ので、亜種の中でも一番進化しているという話も聞いたことがあります(逆にここ数百年は、一番進化が止まっているといわれています)。数百万年の劣悪な環境の中で、日本人の足は、さらなる安定のために進化したのではないかと思います。

地球の生物は、環境に順応するために、よりよい方向に、価値ある方向に進化・進歩してきました。暗いところに住む生物は視覚が悪くなったり、なくなったりするかわりに、聴覚・嗅覚・触覚の能力が増して、『見る』ことより『感じる、察知する』ことを特化してきました。部品でみたら退化でしょうが、生きる上では進化といえます。

小指の単純化もその一つではないかと思います。

小指の単純化にみる、日本人の足の進化。
おもしろいですよね。


『徹底的に使いこめば、虹のように見事な弧を描く。』
素晴らしい表現ですよね。

しかし、ハートマン博士はasinakaを知らない(微笑)

写真は通潤橋。
嘉永7(1854)年に”肥後の石工”たちの持つ技術を用いて建設した石橋。

アーチ橋のような、強くたくましく、そして美しい足のアーチを取り戻しましょう!!

つづく

最近読んだ本の中にも、足のアーチに関するおもしろいコトが書かれていました。

ベアフットランニング(裸足ランニング)を推奨している、アイルランドの理学療法士、ジェラード・ハートマン博士という方がいます。ポーラ・ラドクリフ、ハイレ・ゲブレセラシェ、ハーリド・ハヌーシなどの大物ランナーが博士の手に足をゆだねている。
「建築物を見てみるといい」とハートマン博士は説明している。あなたの足の設計図を眺めてみれば、何世紀にもわたってエンジニアたちが匹敵するものをつくりだそうとしてきた驚異の存在が見て取れるだろう。足の中心となるのは土踏まず(アーチ)だ。重量を支えるためのデザインとして、これほど優れたものは歴史上見当たらない。あらゆるアーチの素晴らしきは、圧力をかけられると強さを増す点にある。押し下げられれば下げられるほど、アーチの各部分はぴったりとかみ合うのだ。有能な石工ならアーチの下に支えをつけるような真似はしない。下から押し上げれば、構造全体を弱めることになるからだ。足のアーチをあらゆる面から強化するのは、26の骨、33の関節、12のゴムのような腱、そして18の筋肉からなる伸張性の高い網であり、これはいずれも耐震構造のつり橋のように収縮する。

「シューズを履くのは、足にギプスをはめるようなものだ」とハートマン博士は言う。「脚にギプスをはめれば、6週間で筋肉組織の40パーセントから60パーセントは萎縮するだろう。足をシューズで覆ったときも、同様のことが起こる」シューズが仕事をすれば、腱は硬くなり、筋肉はしなびるというわけだ。足は戦いを生きがいとし、プレッシャーのもとで強くなる。アラン・ウェッブも気づいたとおり、怠惰にすごさせたら、衰弱するだけだ。徹底的に使いこめば、虹のように見事な弧を描く。

「1000人以上のケニア人トップランナーと仕事をしてきたが、ひとつ彼らに共通しているものに驚異的な足の弾性がある」とハートマン博士はつづけた。「17歳になるまで靴を履いて走ったことがないためだろう」今日にいたるまでハートマン博士は、これまで耳にしたなかで最良のけがの予防法とは、あるコーチが提唱する「週三回、裸足で濡れた草の上を走ること」だと信じている。

通潤橋はサイホンの原理も使用されている。
いまでも、水を運ぶ役目を果たしている。

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