足の話ばっかり書いていましたが、肝心の足半復元の話。
足のコトを調べていくと、必ず足半が登場してきます。
いまでも、あちこちで足半は買えますが・・・残念ながら、一時期流行った、つま先だけのダイエットスリッパのような扱われ方をしています。実際に数社から買ってみて試したところ、その形から本来の使い方とはまったくちがうだろうという予想し、いろいろ調べてみました。
70年前にも足半に魅せられた人たちがいました。
1936年発表の論文『所謂足半に就いて』や宮本馨太郎氏の「足半草履の研究」など民俗学の観点から、まとめられた資料が残っています。
鍬や鎌が手を効率よく使うための道具であるように、足半は足を効率よく使うための道具(民具)であったのです。
調べれば調べるほど『つま先だけのダイエットスリッパではない』ことがわかりました。鼻緒の位置や形状も、昔の資料が大いに役立ちました。
最初は戦場での道具だったのが、一般人に浸透し、農業や漁業の作業で使われるようになり、戦後に衰退していったらしいです。今でも鵜匠は足半を履いています。
長距離の歩行は草鞋が使われたみたいですが、スピードを求める飛脚(走る目的)は足半を使っていたらしいです。
さすが技術大国ニッポン。なにげない民具も考えられています。
失われつつある土踏まず(足のアーチ)の復活と足の機能を飛躍的引き出すツールとして、この素晴らしい先人の知恵をキチンとした形と使い方で復活させたいと思いました。
足半についての形状や機能は調べましたが、実際に形にしてくれるところを探すのに半年以上かかりました。
さすがに『つま先だけのダイエットスリッパ』として売っている業者さんには、サンプル依頼すら、ことごとく断られ(笑)
次に草鞋、草履を製造している業者さんにあたってみても、
『あしなか? なにそれ?』
的な感じで、個人を相手にしてくれない(泣)
わたしのしつこさに天も負けたらしく、その業者さんは現れました(笑)
こういう形状で、こういうモノを作りたい!
と依頼してたった3日でサンプルが届きました。
届いたタイミングで先方の社長さんから電話。ありがたいことにノリノリでチャレンジしてくれました。
4回ほど、作り直しやら、提案をしていただいて、完成した最終サンプルがこれです。
ドドン!
室内でも履けるモノを作りたかったので、ワラで編むとクズが出ます。
そこで天然の笹の葉を使って編んでもらいました。
本来は草鞋と同じく、藁ひもで鼻緒を作るのですが、草履用をチョイス。まぁこれが安く仕上げる方法というのもありますが(笑)
裏面はこんな感じ。
芯縄は藁を使ってます。
草履用の鼻緒を使ったのは、いろいろと変化できるというのもあります。
こちらは女性用の鼻緒。
さらに業者さんの提案を元に、現代風に作ってみたのが【足半・改】。
これはスゴイです。
【ふんばり力】3倍(笑)
30分ほど履いて、脱ぐと・・・自分の足が地面にめり込んだような、ドッシリとした感覚に(笑)
足底を計測する機械で変化のデータを取ったりしてから、世に出そうかなと考えています。
しばし、またれよ!
陸上の選手は、土踏まずが発達していて、つま先で走ります。足半を履いて走ると、飛脚が愛用していたのも納得です。
関節を故障しやすいランナーは、これを履いて走ると走り方が即効で変化するのでよいかもしれません。自然と膝に負担のかからない走り方になります。
これがよくできているなぁと感心してしまうぐらいスゴイ道具です。
こんな感じで、端をつかむことによって、足のアーチが増すので、裸足よりも【ふんばり力】がアップします。
足半の聖書(笑)
先人に感謝。